1.円安の進行
下記の図は、日本銀行の統計データ検索サイトを使用して出力した、1980年から2026年までのドル円相場の推移になります。

図1 ドル・円相場の長期推移(1980~2026年)
[東京市場、ドル・円スポット、17時時点/月中平均]
出所:日本銀行「時系列統計データ検索サイト」
ドル・円相場は1980年代半ば以降、長期的には円高方向に進み、1995年には一時1ドル=80円台まで円高が進みました。その後も変動を繰り返しましたが、2008年のリーマンショックや2009年以降の欧州債務危機を背景とした円高局面では、2011年に1ドル=75円台(日中)をつけることもありました。その後、2013年に導入されたいわゆる「異次元緩和」などを背景に円安方向へ転じ、2020年代に入ると円安が急速に進み、近年は1ドル=150円を超える水準で推移する局面も見られます。
為替相場を動かす要因についてはさまざまな議論がありますが、2022年以降の円安局面では、米国がインフレへの対応として急速な利上げを進める一方、日本銀行が金融緩和を継続したことで日米の金利差が拡大したことが、重要な背景の一つとして指摘されています。
2.実質実効為替レート
次に、下記の図は、日本銀行の統計データ検索サイトを使用して出力した、1980年から2026年までの実質実効為替レート指数(単位: 2020年=100)の推移になります。

図2 実質実効為替レート指数(1980~2026年)[単位:2020年=100]
出所:日本銀行「時系列統計データ検索サイト」
実質実効為替レートとは、円と複数の通貨との為替レートを貿易額などで加重し、さらに国内外の物価格差を調整した指標です。ドル円だけでは捉えられない、円の総合的な購買力や対外競争力をみる際の一つの目安となります。
上の図を見ると、円の実質実効為替レートは1990年代半ばをピークとして、長期的には低下傾向にあります。特に2020年代に入ってから低下が進んでいることが分かるかと思います。
3.私たちが考えるべきこと
為替相場が今後どのように動くかを正確に予測することは困難だと思います。円安がさらに進む可能性もあれば、再び円高方向に動く可能性もあります。そのため、現在の円安だけをみて、将来も円安が続くことを断定することはできません。
ただ一方で、私たちの生活を考えるうえでは、円の価値が変動する可能性について意識しておく必要はあると思います。日本で生活していると、収入や預貯金、年金など、多くのお金は円を基準としています。しかしながら、私たちが購入する商品やサービスの中には、エネルギーや食料をはじめ、海外からの輸入に依存しているものも少なくありません。円安が進めば、それらの価格を通じて家計にも影響が及びます。
特に退職後は、現役時代に比べて仕事の収入を増やすことで物価上昇に対応することが難しくなるため、円の価値が変動しても生活設計全体が大きく損なわれないように資産運用を含めて考えておくことが重要ではないかと思います。
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